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妹と兄のシリアスとも呼べる様子を、息を潜めて気配を消し、見つめている猫が一匹……。
「うにゃ……これはこれは……まぅ滅茶苦茶ちょっかい出したいにゃん。今すぐにでも飛び出してコアにゃん抱き転がしたいにゃんよ。でもでも、そんな事したらコアにゃんに尻尾ぶつ切りにされそうだにゃん。うにゃう……うぅ」
小声でそうつぶやいているとその猫の隣に盗撮用カメラを構えた情報屋、グロッツが静かに寄ってきて……。
「本命である歌姫を放っといて青髪美人元中佐殿と密会……明日の一面はこれでいけるな」
「にゃ……おめーさんブン屋だったのかにゃん?」
「ブン屋などという言葉よく知ってるね……猫さん。いや、まぁ表向きは新聞屋なんで。明日の一面は冗談にしてもこれは使えるよ~。とくに歌姫さんに対して使えそうだ」
「ふぅん。しっかし盗撮はいけないにゃん」
ミーシャはズラッと精密機器用ドライバーを取り出し……あろうことかグロッツの持っていたカメラを原形をとどめないまでに分解してしまった。
「うおおおお……! 60万する高性能一眼レフがああああ……」
「あとで組み立ててやるにゃんよ。そう落ち込むんじゃないにゃん。ほれ記憶媒体」
小さなチップを投げ渡し、ドライバーをどこへやらと直し、特にお気に入りの三角ドライバーを胸元へするりと滑らせた。
「そ……それにしても見てるこっちがどきどきしてくるにゃあ。まぅもあんな腕で抱きしめられたいものにゃん」
「なんやなんや、もう一人の自分。尻尾振りまくってなにやっとんや?」
「おめーはくんにゃ。ややこしくなるからにゃあ」
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