登校

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「桜の木よ、早くサクランボを実らせてくれ」 たかしが、早口でぶっきらぼうにそう言った。 たかしが早口で言ったのは学校に遅刻しそうだったからだ。 僕は、桜の木にサクランボが実らないことを知っていたけど、あえて言わなかった。 むしろ、果実が実ると思っているたかしに男を感じた。 少し、嫉妬した。 鶯谷公園を抜けると上り坂があり、上りきったところに僕たちが通う中学校がある。
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