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「おぉーい!」
「誰か… 」 誰かいないのか?
「俺… 1人… か?」
不時着というより墜落に近かった… 辺りはシャトルの残骸が散らばり、無惨な光景を男が目にした時、言葉を失い呆然として座り込む以外に出来る事がなかったのだった。
「あっ あの人は…」
男は冷たい言葉をかけられた女を自分の体よりも先に心配したのだった。
しかし、動くものといえば目の前を流れる深い霧くらいのもの。
「ダメだったか…
深いため息と絶望感が押し寄せてくる。
カラン… 「た・す ・ ・ け・ 」
「誰か いるのか?」
男はその声にハッとして顔を上げた。
「だ、 誰か生きてるのか!」
痛む体の中から絞り出すように男は叫んだ!
「こ ・ こ ・ よ…」 聞こえたのは女の声…
「いま 行くから!!」 男は声の聞こえた方へ傷ついた身体で歩いていった。
霧の深いこの惑星は昼間と夜の界はない。昼間でも厚い霧に覆われ、けして光が地上に降り注ぐことはなかった。しかし、地球よりもいくらか薄めではあったが酸素はあった。水も硬度さえ違うものの湧いていた。ただ、迷うと2度と帰ることのできない「霧」に覆われた惑星だった。
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