001 夏が始まりを告げる頃に

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思わずオウム返しのように、女の子の言葉を繰り返す。 更に……… 「ヤギ……ヤギヤギ?」 「ヤギヤギ。」 『………』 思わず見合わせる二人。 そして更に……… 「ヤギヤ、ヤギヤ~ギャ?」 「ヤギヤギヤギ。」 『………』 わかるか――――――!!!! 綾、耐えきれず、遂に絶叫。 「………っ。」 「……ヤギャ?」 ただし、怒りを堪えて脳内絶叫に留まる。 (落ち着け、落ち着け。今ここで感情的になったら、何も解らないって!) ひとまず深呼吸の後、綾は改めて女の子と対峙し、幾つかの質問を投げ掛ける。 第三者から見ると、恐らく一触即発の雰囲気になっているが、当事者の二人にはわかるかはずもない。 「まずは……俺の言ってることはわかっているのか?」 「……ヤギ。」 頭を縦に振った。 「肯定……してるのか?」 「ヤギ。」 同じく頭を縦に振った。おそらく間違いはないと思われる。 (じゃあ、こっちの言葉は理解しているってことだな。それと、YESorNOで答えられる質問しか出来ないか。それなら………) 「……ヤギ?」
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