001 夏が始まりを告げる頃に

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女の子が不思議そうな顔で、思考が停止した綾を見る。 正確には、あまりにも嫌で考えたくないために思考を停止させているのだが、大して変わりがない。 そしてその理由が、 (………頼るべきはオヤジの発明品、しかないのか?だがまあ、気が進まないが仕方ない。) 綾の中で何かが割り切れたようで、ひとまず停止させていた思考を再び活動させる。 そして綾は立ち上がり、何を思い立ったか女の子を手招きで、居間から別の部屋へと招く。 「ヤギ……」 当然、女の子も突然の事で、最初は少し不信感を抱いた様子で、行くかどうか迷う仕草をする。
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