-戦慄-

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「ヤァ-!」 「トォ!」 春の暖かな陽気の差し込む剣術道場。 弟子たちの稽古に打ち込む充実した気合いが師範としては気持ちいい。 ここの師範である『巧』(たくみ)は以前、今は亡き仲間と共に仮面ライダーとして人々を怪人たちから守るために戦った経緯をもつ。 「師範、稽古お願いします!!」 「あ-、いや…悪いけど私はこれから出掛けてなくてはならなくてね、すまないが。」 「そうですか、わかりました!では次の機会にお願いします!」 「うむ。」 今、巧に稽古をつけてほしいと申し出てきた少年は『鎌田 鷲弥』(かまだ しゅうや)。この道場で一番の頑張り屋さんである。 巧は昔の…仮面ライダーとして戦っていたときの自分と重ねてみることもあった。 「さて、花ももったし…行くかな。」 巧がこれから向かう先… それは仲間たちの墓であった。 今日が仲間たちの命日だからだ。 外に出ると、さわやかな風が巧を包みこんだ。 「ぶぇっくしょぉぉい!!」 巧は花粉症だった。
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