さよなら、

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やり遺したこと 言い遺したこと 食べ残したこと みんなみんな、どうでもよくて ああ、 生きてるって、何? 「うーひゃあ」 トンデモナイ、 アトラクションに乗るまえのような、 あの高揚感。 唾液があとからあとから、 口に溢れてくる。 彼は、死を望んでいた。 日常の中にある おはようや、ありがとう。 と言う言葉と同じ重さで。 「死」という言葉の重さは 人によって、それぞれ違う。 彼意外にとって、 現実離れしすぎたその会話は、 彼にとって、身近すぎる会話。 「昨日、死のうとおもったんだけど」 「え、そう」 「微妙だから、誕生日の日にするわ」 「ふーん、あ、昨日の‥」 冗談、以下の会話だ。 彼が本気だなんて、だれも考えない。 理由は、 彼しか知らない。  
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