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「とりあえず、数学からやろっか。
参考書とかは、」
「持ってきたよー」
「用意周到だね……」
何気に本気で感心しつつ、その辺に脱ぎ散らかしていたパジャマを羽織り、椅子に腰掛けて机に向かう。
それから、順当に基本問題から取りかかろうとシャーペンを手に取り、
「あ、足組んじゃダメだよー」
普段、授業中や、家での勉強中にそうしているように足を組もうとした瞬間、紗姫から非難の声が上がる。
「にゃはは~……んしょ、と」
頬を赤らめた紗姫は、可愛らしく笑いながら僕に歩み寄り、小ぶりなヒップを僕の膝の上に収めた。
パジャマの薄い生地を通して、紗姫の体温が伝わってくる。
「……あの、恥ずかしいんだけど」
「いいじゃんかー。
こっちの方が集中できるんだよ?」
この状態下で集中できるのは紗姫だけだろう。僕は自制心を保つので精一杯だ。
――などと突っ込もうとしたが、気づけば紗姫は、既に真面目に宿題に取り組んでいる最中だった。
「最初の問題から解らない……」
(……まあ、これもいつものことか)
「ここはさ、これをχに置き換えて……」
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