54人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は彼女から目線を逸らし、中央の噴水を眺めた。昼間だというのに、この公園には僕と鈴野以外誰もいない。だからこそ僕はここに来たのだが、そもそも公園に来たこと自体が間違いだったのかもしれない。
「そろそろ帰りませんか」
無駄だとは思いながらも、僕は彼女に提案してみた。
彼女はこちらに乞うような目を向けて言う。
「もう少しここにいちゃだめ?」
予想通りだ。逆らうわけにはいかない。僕は力なく笑った。
「仕方ないですね」
鈴野はぱっと顔を輝かせ、礼を言った。いったいここの何が彼女を惹きつけるのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!