ポケットの消しゴムくん

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    消しゴムくんはげんき。     いつも頭をがりがりやられて、 いたいなぁと思う。     でも、子どもが大好き。     だからしょうがないの。 大好きだから、痛くても、 へいきなの。     でもあるひ、 消しゴムくんは落っこちた。     転がって「いたい」と思って、 あたまに手をやったんだけど、 痛くない。     ゆっくりと目をあけたら、 あたりはやみにつつまれていた。     こわいなんてもんじゃない。 ここはどこ? そう言う声はふるえていた。     たまに地震みたいに揺れて、 そのたびに、ひゃあと、 消しゴムくんは声をあげた。 なさけない。 でも、 ホントにこわかったんだよ。     しばらくして、声がした。     「ない!どこにいった?」     消しゴムくんはうれしかった。 大好きな子どもが、ぼくのことをさがしているんだって思ってドキドキした。     でもあいかわらず 闇はまっ黒で、困った。     子どもはあちこちをさがしてるみたいだった。 がさごそ 変なおとがしてたから。     でもいつまでたっても 見つけてくれなかったんだ。    
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