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消しゴムくんはそのうち気付いた。
ここはズボンのポッケのなかなんだな、って。
よいしょ、よいしょとやわらかい壁を登ると、やっぱり子どもが見えたんだ!
でも、オーイと呼んでも、
子どもは気付かない。
消しゴムの声はにんげんには聞こえないから。
エーンと泣いても
にんげんにはその涙も見えない。
ポロポロ流す涙は、にんげんにはかすと言われて、いつも捨てられるんだよね。
かすをだすと、からだはどんどん小さくなる。
消しゴムくんはいつの間にか、
ちっこくなった。
こんなに泣くのにはわけがあるんだ。
さいしょ、子どもは消しゴムくんをさがしに旅にでた。
おかあさんもおとうさんもゴンも止めたけど、きかない。
ゴンというのは犬です。
いろんなとこにいった。
山でくまとたたかった。
うみでフラダンスおどった。
でも消しゴムはない。
消しゴムはポケットにいるから。
気持ちはあるんだけど、
それがわかってもらえないと、
それはつらいんだよ。
すごくつらいんだ。
だから、泣きすぎて
もうかすみたいにちっちゃくなった。
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