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「ハァ、ハァ―――」
ひたすらに校庭のトラックを走り続ける男の子が一人いる。
空は茜色からうっすらと暗い夜空が僅かに姿を見せ始めた時刻、何気なしに学校に残っていたのだけど、もう部活生も先生もいない学校に私以外居ないと思っていた。居るとすれば当直の先生が一人かな。
「何してるのかしら?」
なんて思いながら外より闇を含む校舎の三階から只、走り続ける男の子を見下ろす。
ジャージ姿でこの寒い中走り続けている。端から見れば大会前にひっそりと努力する部活生というところなんだけど、私には何となくそうは、見えなかった。
そして、それから二年が過ぎ卒業まであと、二ヶ月を迎えた一月のことだった――――。
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