326人が本棚に入れています
本棚に追加
パイロット2名が歩いて来た。
1人は体格がいい男だが、もう1人はやや背が低い女性だった。
鈴原
「梶士長か?」
彼女はヘルメットを右脇に抱えている。
梶
「はい……。そうですけど……?」
いきなり声をかけなれれびっくりしたような口調だった。
鈴原
「今日の降下訓練でお世話になった第1小隊の者だ。今日はご苦労だった」
梶
「いえ、あれぐらいどうって事ないですよ」
鈴原
「風が強いって言ってくれたよな。ありがとう。おかげで助かった。注意してくれなかったら死んでいたかもしれない」
梶
「いえいえ、礼には及びませんよ」
鈴原が機体を見ながら言う。
鈴原
「今日はこれから訓練か?」
梶
「は、はい」
鈴原
「そうか。気をつけて」
梶
「はいっ」
鈴原は梶に敬礼した後、その場を後にした。
梶
「……………」
田口
「梶!ボケッと突っ立ってないで早く乗れ!プリフライトチェックはお前の仕事だろうが!」
梶
「はい!」
200X年10月3日午後8時 東京都港区赤坂檜町防衛省中央指揮所
1台のセダンが、玄関前に停車する。
中からは統幕議長が降りて来た。
統幕議長
「また緊急事態か……」
指揮所内は職員が右往左往しており、騒がしかった。
防衛省職員A
「統幕議長。見て下さい」
統幕議長を衛星写真が広げてあるテーブルへ案内した。
防衛省職員A
「北の軍港の写真です。戦車や物資を大量に積載しています」
統幕議長
「他の軍港は?」
防衛省職員B
「どの軍港も同じ状況です」
統幕議長
「2年前の第3艦隊……。また攻め込むつもりか!?」
防衛省職員D
「また……北海道でしょうか?」
統幕議長
「わからん。各方面隊に警戒態勢をとらせろ」
防衛省職員一同
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!