訓練

3/4
前へ
/146ページ
次へ
パイロット2名が歩いて来た。 1人は体格がいい男だが、もう1人はやや背が低い女性だった。 鈴原 「梶士長か?」 彼女はヘルメットを右脇に抱えている。 梶 「はい……。そうですけど……?」 いきなり声をかけなれれびっくりしたような口調だった。 鈴原 「今日の降下訓練でお世話になった第1小隊の者だ。今日はご苦労だった」 梶 「いえ、あれぐらいどうって事ないですよ」 鈴原 「風が強いって言ってくれたよな。ありがとう。おかげで助かった。注意してくれなかったら死んでいたかもしれない」 梶 「いえいえ、礼には及びませんよ」 鈴原が機体を見ながら言う。 鈴原 「今日はこれから訓練か?」 梶 「は、はい」 鈴原 「そうか。気をつけて」 梶 「はいっ」 鈴原は梶に敬礼した後、その場を後にした。 梶 「……………」 田口 「梶!ボケッと突っ立ってないで早く乗れ!プリフライトチェックはお前の仕事だろうが!」 梶 「はい!」 200X年10月3日午後8時 東京都港区赤坂檜町防衛省中央指揮所 1台のセダンが、玄関前に停車する。 中からは統幕議長が降りて来た。 統幕議長 「また緊急事態か……」 指揮所内は職員が右往左往しており、騒がしかった。 防衛省職員A 「統幕議長。見て下さい」 統幕議長を衛星写真が広げてあるテーブルへ案内した。 防衛省職員A 「北の軍港の写真です。戦車や物資を大量に積載しています」 統幕議長 「他の軍港は?」 防衛省職員B 「どの軍港も同じ状況です」 統幕議長 「2年前の第3艦隊……。また攻め込むつもりか!?」 防衛省職員D 「また……北海道でしょうか?」 統幕議長 「わからん。各方面隊に警戒態勢をとらせろ」 防衛省職員一同 「はい」
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

326人が本棚に入れています
本棚に追加