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「あの…先生…」
そんな加藤の耳に天敵の声が入ってきた
「なんだ?高宮」
「根本さんは悪くありません。キリの良いところまで勉強を教えようと俺が引き止めていました。俺のせいです」
「それじゃあ高宮、お前が立ってろ」
高宮は加藤に言われるままに、何も言わずに立ち上がった
「…それじゃあ授業を始めるぞ」
加藤は何事もなかったかのように授業を始めた
十分
二十分
その間、高宮は当然立ちっぱなしだった
加藤はその状態も気に入らない
涼しい顔で授業を受ける高宮
まるでこちらが馬鹿にされているような気がしてしまう
もちろん、高宮にそんな気はないのだが
何とかして高宮に恥をかかせられないか
加藤は考えた末に、黒板にとある方程式を書き出した
生徒達はただ黙ってそれを見つめる
口を開こうものなら何を言われるか分からないからだ
「おい、高宮ぁ」
「はい」
「お前、頭いいんだったな?これ解いてみろ」
加藤は黒板を叩いた
そこには高校生には難しすぎる方程式が書かれていた
高宮は黒板へと歩み寄る
そして黒板の方程式をしばし眺める
「やっぱお前でも無理か!ハハハハ!」
加藤がこの日初めて見せた笑顔だった
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