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するとその祠の前に突如、女が顕れた。
肌も白くスッとした美しい顔立ち。
着くずした和服からみえるうなじに、無造作に高い位地に一つに結われた白い髪が腰の下まで伸びていた。
その女は妖艶に微笑んだ。美しい、と思った。
女から鈴のような声が漏れた。
「貴方のお名は……?」
思わず逆らえない何かを感じて俺は名前を告げた。
「…………三次郎。」
「まあ、素敵なお名前ですわね。少し、妾と話をして下さいませぬか……《三次郎》殿」
とても妖艶に微笑んだ女のその瞳は、笑っていなかった。
人を騙す事が楽しみのような、そんな瞳をしていた事に気付けなかった。
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