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起き上がり様に机の上に座っている小綺麗な顔立ちで、和装の青年がニヤニヤと笑いながら私を見ていた。
「じ、次郎…。いるなら助けろよ。」
通称。
またの名前は三次郎だ。
私は三次郎を睨んだ。
「調度来た時に襲われてたので、助けようと思ったら先に起きた瑠華が怒気を吹っ飛ばしたんですよ。モテますねぇ。」
そう言って首をかしげながら微笑む。
どうやらその仕草がクセらしい。
前にも何回かその仕草を見た事がある。
次郎の肩までのざんばらな漆黒の髪がふわりと揺れる。
「あんな奴にモテても嬉しくない。あー、朝から疲れた。」
私はぐったりと顔を下に向けて、ため息を吐いた。
「それにしても、もうちょっと女の子らしい叫び声をあげられないんですか。『ギャー』って…………」
「うるさいな。余計な事を言うなよ。」
私に鋭く睨まれた次郎は動じる様子も無く肩をすくめて見せた。
「学校、早く行かないと遅刻しますよ。今日は授業あるでしょう?」
「あ!そうだった。急がないと。」
私は急いで制服をクローゼットから出して着替える。
「朝から学校がある事を忘れるなんて瑠華くらいですね。」
なんて次郎に言われても焦っていた私が気付く訳もなく。
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