始まり

8/18
前へ
/139ページ
次へ
学校までは徒歩で二十分程かかった。 私の家から学校まではかなり近いのだ。 下駄箱で靴を履き替えて自分の教室へと向かった。 私は学校の教室のドアを勢い良く開けた。 教室の中には既にほとんどの生徒が来ていて、笑い声や怒鳴り声がやけに騒がしい。 私は自分の決められた座席、窓側の一番後ろに座った。 前の座席に座って本を読んでいた少年、煉(れん)が私が来た事に気付いて振り向く。 「よっす。今日は遅いじゃん。」 私は机に学校指定の鞄をそっと置いて、椅子を引いて座った。 「あー、うん寝坊しちゃった。」 霊にいかがわしいことされかけました☆なんて言えるわけない。 「ふぅん、あれ?エロ次郎は?」 私は背後を指差して合図をした。 私の後ろにいた三次郎がスッと前に出る。 「いますよ。その呼び方、いい加減に止めてくださいよ。煉。」 煉はニカッと笑い、ひらひらと手を振る仕草をした。 「あ、いたいた。エロ次郎~お早う。今日もエロってる?」 瞬間、エロ次郎…いや、三次郎は満面の笑みを浮かべた。 だが目だけが笑っていない。 「その口、開けなくしてあげましょうか?」
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加