嫉妬

2/18
前へ
/252ページ
次へ
「あれ?西条就職なの?」 進路希望の用紙を提出してから1週間。 鈴華が進路資料室で資料を眺めていると拓が話しかける。 どうやら自分も資料を借りに来たみたいだ。 「うん。大崎くんは?」 「俺は一応進学かなー?」 そういいながら棚を眺める拓。 「そっか。東京戻るの?」 「それも未定!正直まだ全然考えてない」 「そっか」と鈴華も見ていた資料を棚に戻す。 「てか西条の家って舞妓さんが居るなんとかって奴なんだろ?家継ぐがないの?」 「ほら竹本みたいに!」と付け足す拓。 「いずれ継ぐよ。けどお母さんがとりあえず自分は20年女将続けるからとりあえず就職しなさいって!」 「だからとりあえず就職しようと思って。まだ全然決めてないんだけどね」と苦笑する鈴華。 資料を戻した鈴華の手は其のまま机の上に置いていた鞄を握る。 「じゃぁあたし家の手伝いあるから。また月曜日ね♪」 「おう!頑張れよ!」 拓にお別れを言うと鈴華は資料室を後にした。
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加