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「ルルル…ルルル…」
その時、突然電話がなった。
俺の怒りの矛先は、一瞬にして電話に向かう。
「チッ。」
我ながら面白いぐらい上手くいった舌打ちを残しながら、急いで電話に向かって歩き始めた。
こんなに大きな家なのに、電話の数は驚くほど少ない。
そのせいで急いで電話機まで行かないと、途中で途切れてしまうのだ。
「はい。佐倉ですけど、どちら様でしょうか。」
まだ、若干不機嫌さを残した声で話してしまった。
しかし、相手の方は気にした様子もなく、それどころかひどく慌てていて、何を言っているのか分からない。
その様子に呆れて、つい怒鳴りそうになってしまったのだが、相手の発した一言によってそんな考えは吹き飛んだ。
「佐、佐倉氏が…佐倉氏が殺されて―――――」
俺の頭は思考を停止した。
信じられなかった。
理解できなかった。
そして数秒後にようやく発した言葉は
「嘘だろ?……」
ただ現実を否定するものだった。
先に冷静さを取り戻したのは相手で、少し落ち着きを取り戻した声で状況を話し始めた。
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