おやじ

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近所に住む幼なじみの おやじさんは 少し変わった人だった。 小学校何年生だか記憶に ないのだが、学校から帰った俺は幼なじみの家に遊びに行った。 すると、「おう! きたな!」おやじさんがニコニコして話しかけてきた。 「こんちは」 お辞儀をすると、 「こっちに 来てみな!」 おやじさんが言う。 「はい」 返事をして近寄ると 「あれ…あれ見てみな!」 おやじさんの指指す方を見ると、芝生の上で茶色い袋に入った物体?が、ゴロゴロ転がっていた。しかも変な形に変型しながら。 「あれは?」聞いてみると 「あの袋にはな、 「ネコ🐱が入ってるんだよ。どうだ? おもしれーだろ。あの袋はなかなか破れないぜ! あの袋を破ったネコにはな、鰹節をたらふくくわせるんだ! ネコのチャンピオンだからな!」 そう言って芝生の袋に 目をやった。 今思うと、たとえ袋が破れてもそのネコに餌をくれる暇などなかったように思えた。
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