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《虎伊》 -in正門前-
ぐらんぐらんと回る脳で
考えてたのはみんなの事。
庄ちゃん、まだ一筋縄じゃいかないんだから。は組は。はい、お茶飲んで落ち着いて?
兵太夫、きり丸!また金吾と団蔵にちょっかい出しただろ!度が過ぎたことはしない!言い訳もしないのっ!
喜三太、三ちゃん、乱太郎も…どうしたの?悩み事なら聞くけど…え?僕は平気だよ?…心配してくれたの?有難う。でも僕本当に平気だから。…そうだ。皆で洗濯でもしよっか。
ああ。みんな。
「有難う、伊助。」
僕、
「だって金吾が悪いんだよ?」
「Σ100%お前が悪いよ!」
「まあまあ落ち着け金吾」
「俺ぁ銭払ってくれたら謝ってやっても…やだな!冗談だよ伊助っ!」
もう居なくなっても
「ナメさん達も心配したんだよぅ?」
「出来る事あったら何でも言ってね!」
「いいね、私も干したいな。今日は洗濯日和だもんね!」
大丈夫だよね…?
あ。やばい、光が。空が。
遠くなってーーー…
がしっ
「…い……っ…」
…?
誰かに抱きとめられた。視界が朧で…分からない。誰かに…呼ばれた?
「伊助っ…!」
今度ははっきり届いた。
凛、と通る声。数日しか経ってないはずなのにえらく懐かしく感じる。これは、この声は…
「と…ら、ちゃん…?」
急速に近くなる空。焦点が合ってはっきり見える大好きな顔。今にも泣きそうで。声に反応して涙を落とし、嬉しそうに僕を抱きしめた。
「お帰り。お帰り、伊助」
虎ちゃんが、そうやって
泣くもんだから
震えるもんだから
抱きしめるもんだから
「よく頑張ったね。もう大丈夫だよ。」
なんて、そうやって
背中を優しく叩くもんだから。
いつもの僕の台詞も、仕草も、
とられちゃったもんだから。
僕は何も出来ずに、
「ただいま」って
泣くことしか出来ないだろ
どうやら僕は無意識に忍術学園の前まで自力で辿り着いたらしい。
虎ちゃんは僕を見つけて全速で走ってきてくれたらしい。(うん、愛を感じる。)足よりもひどく腕が痛い。そこから僕は虎ちゃんに背負われて学園に入った。しんべヱを抜かした全員がそこにいて僕を迎えてくれた。皆、涙を流してくれた。「伊助がいなきゃ誰がは組の世話すんだよ」きり丸の台詞に笑いながら皆同意した。…おいっ。
…どうやら僕はは組にまだ必要な存在みたいだ。
僕も笑いながら。泣きながら。「しょうがないな」って返した。
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甲班:虎若
乙班:伊助
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