反 時計 廻り

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 血に飢えた吸血鬼は、人間社会での殺し屋を雇っていた。面倒のないよう、人間は人間に殺させるのだ。  血気盛んな若い同族どもは、自ら人間を狩って血を奪おうと考える。だが彼にとっては、そのようなことは愚行である。  吸血鬼が食料として人間を狩りすぎれば、人間は滅んでしまう。それゆえ人間も吸血鬼に対抗する手段を有しているのだ。  人間同士のいざこざで済ませば、吸血鬼はより安全で快適に血液が手に入る。  ヴァンパイアハンターだとか、吸血鬼退治だ、などと騒がれもしない。干渉されなければ、安泰を得られるだろう。
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