其ノ壱

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「真っ当な、職?…人殺しがですかい?」 その言葉に鈴村はぴたりと立ち止まる。 振り返ると、男の華奢な背中が震えている。 笑っているのだ。 「何がおかしい。」 ムッとして訊ねると男はくるりと鈴村を振り返る。 「見るところによるとお侍様のようですが、人を斬ることが真っ当な職だと言うなんて。世も末ですね」 不思議な目の色が近づいてくる。 息がかかるくらいの距離に男はいた。 「見てくださいよ、お侍様。あたしの目を」 男の目は青く、空の色をしている。 この国では見かけない、異国の色だ。 「珍しい色でしょう?みんなこの目を嫌ってあたしを追い払うんですよ。おかげさまで男娼しかできないんでさ」 男は鈴村から離れて笑う。 爬虫類にも似た感情のない冷たい目。 絶望を知り、人の世の闇を知り、己の行き着く先を全て見通すような、そんな目をしている。
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