其ノ壱

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「あぁ。じゃあ呼んでくれ」 胡蝶蘭は口元に笑みを浮かべたまま両手を二回叩き合わせた。 そしてきちんと座り直す。 スッと音がして華やかな着物に、簪をつけた女たちが入って来る。 後ろで弦を奏でる者や、舞を踊る者で、部屋の中はあっという間に賑やかになった。 「酒でも如何です?」 胡蝶蘭の勧めに頷き、鈴村は小華を眺めた。 美しい舞に美しい音楽。 まるで花が舞っているようだ。 見とれていると、胡蝶蘭にくすりと笑われた。 見ると杯を渡され、酒を注がれる。 「お侍様の口に合えばよろしいのですがね」 悪戯な笑みを浮かべ、小声で囁く胡蝶蘭に鈴村はふんと笑った。 「どんな安酒でも口に合う」 それを聞いた胡蝶蘭は一瞬きょとんとした目をするが、すぐににんまりとした笑みを浮かべた……
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