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「そうだね~。だったら、このままで良かったよ」
「ん……」
「あ゛!部活始まる時間じゃん!やよいちゃん、行くよ!」
「えっ……あ…」
りえちゃんはうちの手を握ると、いきなりダッシュで走り出した。
……ホント、うちらは女の子同士だからこんなに仲良く出来るんだよな。
うちとりえちゃん、どちらかが男だったら今みたいに手を繋ぐなんて出来ない。
でも………女の子同士だから、付き合ったりするなんて有り得ない。
「着いたぁ!」
「はぁっ…はぁっ…りえちゃん、速すぎ…」
「あ!!ごめん!」
「いいけどさぁ……先輩居た?」
りえちゃんは、うちの言葉に校庭を見回した。
しばらくすると、りえちゃんの顔が幸せそうになった。
「……居たぁ」
「誰?どの人!?」
「校庭のフェンスに寄りかかってる、学ランの人…」
りえちゃんの指差す方向を見ると、確かに学ランを着た高校生の男の人が居た。
遠目だったからよくは見えないけど、優しそうな人だ。
「りえちゃん、挨拶行きなよ」
「あっ、そうだね!やよいちゃんも行こうよ」
「……わかった」
りえちゃんに手を引かれて、うちはフェンスまで付いていった。
「先輩、こんにちは!」
「お、有沢か」
「今日も練習見に来てくれたんですか?」
「やっぱ気になるしな!あれ、その子友達?」
先輩はチラッとうちを見た。
「はい、うちの友達の上野やよいちゃんです!」
うちは、笑顔で挨拶した。
「どうも」
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