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うちがりえちゃんと決別して、4ヶ月が過ぎた。
悲しくないと言ったら、ウソになるけど…仕方ないんだと自分に言い聞かせていた。
あれ以来、うちらは一言も口を聞かなかった。
選択の美術も塾も同じだったけど、目は合わせても言葉は交わさない。
周りの友達はとっくに気付いてるようだったけど、特に何も言わなかった。
萩野は何か言いたそうにしていたけど。
それで良い。
うちはもうりえちゃんと友達では居られない。
「おいっ!上野っ!」
「………萩野か」
「アンタ最近どうしたんだよ!りえちゃんと全然話してねーじゃん!」
「萩野には関係ないだろ?うち、願書の下書き出して来る」
「………上野」
うちは職員室へ向かおうとして立ち止まり、萩野の顔を見た。
「萩野」
「ん?」
「心配してくれて……ありがとー」
「……おぅ」
萩野はニッと笑った。
うちも微笑み返す。
ありがとね、萩野。
心配かけてごめんね、萩野。
でも、訳は言えないんだよ。
アンタにまで嫌われたらさすがにうちもキツいけどな。
まぁ、そうだな……。
時が来たら話すよ。
うちは願書片手に心の中でそう誓った。
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