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匂い立つ紅に朱の簪
傍らに従うは双子の姉妹
少女らが持つは斑の手拭い
歪んだ人々はさらに身を捧ぐ
済んだ夢は軋みと共に消え去りて
嘆きの曲だけがそこにある
光さえも闇に飲み込まれ
女達は贖いきれぬ罪を負う
草木萌えることなく
時はただ凍てつき
崩れ落ちること許されず
零へと帰る
蒼い空さえも墓場
囁く言葉は総て戯言
濡れた瞳は枯れた薄を潤し
凪いだ風は剣士をも惑わす
機織る布は途方もない赤
紡がれる糸は孤高の橙
愚かな男達は総てを捧げ
偽りの恋に酔いしれて
最後は鬼に喰われて眠る
高くたなびく煙は鎮魂か
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