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こ、これは――鋭い。
俺はさっき、獅子笶の“先端が丸い鉛筆”に感服したが、この鋭き美しさには……比べることもできない。
鋭い鉛筆からは、妖艶な美麗さが漂っている。煙のように舞い上がり、俺に当たり、恐怖をとめどなく感じさせた。
――“恐い”。
悪寒なんてものじゃない。冷や汗が浮き出て、鳴咽しそうになる。
獅子笶の丸い鉛筆は、言わば《静の美しさ》。それに対し、侍の鉛筆は《動の美しさ》だ。
そう。多少違うものの、美しさという同じステージで闘っている。
だが!!
――格が違う――
「御免、御、免御免御免ー」
「『数分話していたいが、俺は帰らせてもらうよ。今日は用がある』と、言っている」
突風のように現れた侍は、音もなく部屋を出ていった。
「……ちっ」
獅子は苛立ちを隠さない。仲は良くないようだ。
「あの人には敵わねえよ……」
音姉守さんも愚痴を零す。俺は少し留まったが、好奇心を抑えられず「あの人の、名前は?」と聞く。
「あの人の名前は侍 辻斬。武器は、業物の日本刀だ」
「に、ほん……ガハァッ!! ゴフ、おっ――デブォッ、デブめがね!」
吐血の吐血による吐血のための吐血ゥッフー!
恐怖感に抑えされた血が、もう……ウヒヒヒヒ。
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