魅せられたKEZURI

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「――んなことどうでもいい!」  俺の名前なんてどうでもいい! 今はブイさん達の方が大事だ!  試合中の二組に目を向ける。すると、 「「「「「「「「「「「出来た!」」」」」」」」」」」  ブイさんとイギリス軍団の声が、打ち合わされたかのように重なった。どうやら、プレイがヤラセのように同時に終わったようだ。 「さあて、俺が審判しよう」  音姉守さんがそう言いながら、見るからに美しい二本の鉛筆に向かう。ああ、どっちが勝つんだろう。わくわくするなぁ。どきどきするなぁ。  ――三秒後―― 「この勝負、ブイちゃんの勝ち!」  音姉守さんの公平にして平等なジャッジがくだされた! ヨッシャー! 奇跡のサヨナラ逆転完封勝利だぜ! 「くそ! 次は負けねえからな! 覚えてやがれ!」  イギリス軍団リーダーは、そう叫んで体育館から出ていく。その他の十人も、ぞわりぞわりと帰っていった。 「ふう、危なかったわね……」  どこか悲しげに、天を見据えてブイさんは呟く。 「ああ、上手く片付いてよかった」  音姉守さんも、天を見上げた。 「綺麗に、終わりましたよね?」  俺も、同じく。  こうして俺達は、無事試合を終えられた。決して、無駄や無理のない試合だった。そう、決して。そうだ、決して。  しかし、世界(この作品)は幾度も狂いだすだろう。それ(つじつま)を直す(合わせる)のは俺達(作者)の仕事だ。これからも、多くの事件(ネタ)を解決していこう―― 「俺達の世界は、決してネタに詰まっていない」  音姉守さんは、なにやら含蓄のある言葉を吐いた。     【第一話 無事 完】
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