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「部室はあそこだ」
獅子笶は屋上の中央にある建物を指差す。
「ま、まさか、あの小屋が? 屋上に部室があるのか!?」
獅子笶はにやりと笑い、ドアの前まで悠々と歩いていった。そして、ドアを開けようとした瞬間――
「獅子笶、か。ん、入って良いぞ。……なんだ、新顔も居るな」
ドア越しにいる、男の人の声。
このドアを開けていない状態で、俺達が見えない筈なのに獅子笶が来たことを当てやがった! しかも――『新顔』とも言った! 『新顔』という人を俺は知らない。誰だよ! 名字? 名前? どっちにしろ、この場に見えない。つまり! ――幽霊が見えるとでも言うのか!?
「失礼します」
ドアを開け、中に入っていく獅子笶。俺も鼻を押さえながら入る。
鼻血が…… 。
「おはよう、獅子笶。そっちは……ふうむ、金堂成ね。初めまして、僕の名前は賽木 音姉守。二年だ。君は入部希望者かい?」
肩に金髪をバラけさせ、オレンジというより橙色のサングラスをかけている。学ランのズボンの膝までかかる、朱色のマントはいやに目立っていた。清潔感のある綺麗な肌の音姉守さんは、白いソファーに腰かけ不敵に微笑し続けている。
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