魅せられたKEZURI

6/24
前へ
/36ページ
次へ
「獅子笶、この人は何なんだ?」 「音姉守さんは【超能力者】だ。実際にプレイを見れば分かるだろう」 「なるほど、百聞は一見にしカーニバルというヤツか。……すまん、今の発言はなかったことにしてくれ」  獅子笶の口元が引き攣った。殴るぞテメエ。泣くぞこんにゃろー。  見なかったことにし、雫が零れないように上を向いて続ける。 「……ひっく、ひっく。な、泣いてないわよ! 獅子笶の馬鹿! え? 別に心配してない? 死ね。――そんなことより。ワンプレイ見たいんだが、お願いできるか?」  音姉守さんを尻目に、獅子笶と小さい声で話す。すると、案の定と言うべきか音姉守さんの「くっくっくっ」という笑い声が聞こえてきた。 「僕の超能力を見たいのかい。そうだなあ、よし、獅子笶もやろう」 「俺もですか?」 「二人で対決した方が良いだろう。種目は【キル・ヘブン・デス】で良いな?」  キル・ヘブン・デス?  ……なんか凄そうだぜ!      ――――― 《ケズリスト初心者の君でも分かる! 【キル・ヘブン・デス】とは?》  個人種目の中で、最もポピュラーな競技。原点はスリランカの二つ右上の国で行われていました。 ①鉛筆を削る ②判定者に鉛筆を見せる ③より美しい方が勝ち ④五回勝負 ⑤先に一勝した方が勝ち  ⑤のルールのせいで、二回目以降のプレイが弱々しくなるのが特徴。←期末テストには出ませんが、ノートに書かないと内申が下がります。ガックガク下がります。ガックンガックン堕ちます。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加