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「俺が判定者で良いんですか?」
ソファーに並んで座る、獅子笶と音姉守さん。そして、二人の前にある低いテーブルには、二本の鉛筆と二つの鉛筆削りがある。
鉛筆は、HBで十五センチ程。それは二人とも同じだ。しかし、鉛筆削り本体は違う。
獅子笶の武器は、黄緑色の小さいヤツ。
音姉守さんの武器は、真っ黒だが普通の鉛筆削りだ。
「さあ、合図を出してくれ」
音姉守さんは、マントから右腕を出して言う。仕掛けはよく分からないが、出された腕には振袖のように大きな布がかかっていた。
「じゃあ、始めるぜ?」
この勝負――どっちが勝つのか!
そして――勝負の合図の言葉は何と言えばいいのか!
『始め』? 『よーいドン』? 『位置について』?
……ちっ、まだ鼻血が止まんねぇぜ。
「《バイシクル・スロットル》小粒獅子笶! 舞わせて回っていざ参らん!!」
「《フェアマジック~過去の魔術士~》賽木音姉守! 爽快愉快にいざ勝負!」
どうやら、二人とも準備万端らしい。果たして、俺に吐血させられるかな? 魅せてもらおうじゃねえか!
「それでは、いざ尋常に――」
深く息を吸い込み、叫ぶ。
「――始ャタブルッ!」
吐血。
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