魅せられたKEZURI

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「二瞬――【夫唱婦随(ふしょうふずい)】!!」  そしてそれを――上に投げたあっ!  放られた鉛筆削りは回転せず、固定された形で上昇していく。その高さは三メートル、四メートル、五メートル――――  天井高っ。十メートルぐらいあんじゃね?  そうそう、『夫唱婦随』というのは、《夫婦仲が非常に良いこと》。 「ォオオオ! オオオ! ウオオオオオオオ!! 三瞬――【鬼面仏心(きめんぶっしん)】!!」  跳んだ……否!  飛んでいる!!  音姉守さんは浮遊する鉛筆削りの前まで飛び、そこで――マントを脱いだァッッ!  マントを脱ぎ、右手で一枚の布のように持って……ちょっと待った!  朱色のマントの下から見えたものは――      ――裸体――  こ、この人……変態じゃねぇぇかああああ!  しかも! その裸体を晒して――誇らしげな顔してるぅぇぅぁいぇえ!! 「ぼろっふォ!」  吐血。  イカスぜ……惚れてしまいそうな程変態だ――  白い身体だが、鍛え上げられているのは一目で分かる。  まさに、この肉体の持ち主は――  ――選ばれしケズリスト――  『鬼面仏心』  《恐い顔なのに優しい人》
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