😱EMANON

第１章

　夜更かしした朝は頭が重い。その日も気だるい朝を迎えた。心なしか周りの景色が歪む。昨日はちょっといい気になって好きな本を読み過ぎたらしい。

　《クトゥルー神話》

　昨晩十時くらいから読み始め、気が付いた時には朝方四時を回っていた。ベッドから踏み出そうとした足が絡まって滑り落ちた。

　―今日は会社を休もう―

　これで今月２回目か……このままじゃクビになるかもなぁと思いながら、不思議と笑みがこぼれる。

　―このままクビになってもいいかな―

　上司どころか同期入社の人間とすら打ち解けられず、ずっと居場所のなかった僕にとってそこには何ら未練がない。僕は電話の線を外し、携帯をミュートに設定して再び布団の中へと身を潜り込ませた。

　あれから何時間経ったのだろう。頭はまだ多少ズキズキするものの、今朝ほど酷くはない。
　僕はまだ少し眠い眼をこすり、上半身だけを布団の外に出すと、携帯を手に取って時間を確認した。

　[１４:３２ 月]

　薄ぼんやりとした携帯の明かりの中に、それだけがやけにくっきりと浮かび上がって見える。
　その時、手にした携帯が急にブルブルと震えだした。意表を衝かれて放り出した携帯が開いた。