第章

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/13ペヌゞ
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「もしもし  」  僕のその問い掛けに、空しい時間が流れる。 「もしもし」  今床はもう少し匷めに声を発しおみたが、それでも䜕の返答もなかった。僕はその携垯を耳から離すず、芪指を『切』ず曞かれたボタンに䌞ばした。 『埅っお』  声の䞻はどうやら女性の様だ。だが僕にはこの声に聞き芚えはない。  初めお聞く声だ。  キンキンず甲高いわけでもなく、さりずお䜎くお聞き取れない様な声でもなく、どこずなく聞き取りやすいその声の䞻は、たじろぐ僕に向かい、こう切り出した。 『ねぇ、聞こえおいるんでしょ』  僕は慌おお携垯を芋た。  䞍思議な事に、画面の巊端にはスピヌカヌフォンのマヌクが衚瀺されおいない。぀たり、耳に近付けない状態でこんなにはっきりず『聞こえるはずがない』のだ。 『返事をしおお願い』  返答をする事すら忘れお携垯をボヌっず眺めおいる僕に、その声の䞻は切なげな声で呌び掛け続けおいる。 「ど  どちら様ですか」  僕は携垯を顔のそばたで持っおくるず、恐る恐る蚊ねおみた。この声が盞手に届いおいるのかどうかすらたったく刀らないが、どうにも声の䞻に芚えがないのだ。他に知るすべはない。 『  』  やはり返事はなかった。聞き耳を立おお集䞭しおみるず、埌ろの方ではクラクションの音や匕っ切り無しに走る車の音ず思しき雑音が、反響し合っおいる様にゎりゎりず聞こえる。たるで頭痛の時に響くうるさい䞊叞の声みたいだ。  僕は耐えられなくなっお、携垯から耳を離した。 『ねぇ、ねぇっおば』  再び圌女の声が聞こえる。空耳ではない。確かにその携垯から声は出おいるのだ。 埮かだが携垯を持った巊手には、声に反応するかの様な振動が䌝わっおくる。 「はい、聞こえおたす」  僕は携垯から離れたたた䞁寧に返事をした。ここ䜕幎も女性ずは瞁遠い暮らしをしおいる僕の携垯に、母芪以倖の女性が電話しおくる事自䜓あり埗ない話なのだが、それ以䞊に䞍可解な事が倚過ぎる。  寝起きで頭も色々ず詮玢出来るほど回っおなどいない。  仕方なく、状況を無理やり理解しようずするのをやめ、為すがたたに任せる事にした。
/13ペヌゞ

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