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僕は乗っていたバイクを降りて、さりげなく歩み寄り、聞いてみた。
「大丈夫ですか?」
女性は、排水溝に伸ばした指先にある視線を外して、僕の方を向き、今にも泣き出しそうな顔で、
「鍵を落としてしまい、取れなくなってしまいました。」
僕も女性が必死に覗き込み、見ていた足下の排水溝を目を細めて見つめた。
そこには、リボンをしたクマのキーホルダーが付いた鍵が落ちていた。
女性は、歯ブラシや箸で取ろうと試みていたらしく、鍵と歯ブラシも一緒に落としていた。
他にも、長い物を使って取ろうとしていたので、僕は鞄の中にあったボールペンや弁当箱を包んでいたハンカチを探したが、今日は持っていなかったので、僕の携帯の充電器のコードは届かなかった。
僕は五分くらい待ってくれたら、家に帰れば、バーベキューをする時の炭を掴む火バサミの事を言って、取りに行こうとした。
女性は、また独りぼっちは落とした鍵を拾うのは、心細く、引き留められて、箸を伸ばしても、熊のキーホルダーのフックの部分には引っかからず、排水溝の中にある草の茂みでクマは見えにくくなっていた。
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