カツヨの話①

2/3
前へ
/26ページ
次へ
「どっこらしょ…」   カツヨゎ小さなボロボロの仏壇の前に座った。 「お父さん、富男が東京でジャーニズだかに入って、三年たったよ…」 カツヨがそう語り掛ける視線の先にゎ、カツヨの亡き夫、富政の遺影があった。  富政ゎ10年前に落とした十円玉を追いかけた際にトラックにひかれ、この世を去った。   しばらく、遺影を見つめた後、カツヨゎフゥーとため息をつき立ち上がった。   「久しぶりに、富男に仕送りさしてやるかね…」   カツヨゎ台所を見渡した。  しかし、めぼしいものゎなにひとつなかった。   「情けないねぇ…」 カツヨが途方にくれていると、玄関のドアが開いた。   ガラガラ!「カツちゃーん、いたかぁぁい?」   「あら、シゲさん、おはよう!」 シゲさんは、カツヨの家の2軒となりのビニールハウスに住む男で、なんやかんやカツヨと親しくしていた。   「昨晩、浜がほら、しけただろ?昆布が大量だぁ!どうだい?ちょっくら!」 そう、威勢よく話すシゲさんの表情ゎ何故か照れ臭そうだった。   そう、カツヨに淡い恋心を抱いていたのだ。  
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加