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そんな雨が降ったあとだと、大きな水たまりがあちこちに残るんだ。
さぁ、ちいちゃん一番のお気に入りの遊びの始まりだ。
ブカブカの赤い長靴でバシャバシャと水たまりにブワーっと駆け込んでいく。
ジャンプをすると、ビシャッと水たまりがまわりに広がっていく。と思うと、また真ん中に集まっていく。
それを繰り返していくと水たまりがどんどん小さくなっていくんだ。それがちいちゃんには、たまらない最高の遊びなのだ。
長靴ももちろんお気に入りだけど、泥だらけになっちゃうのが楽しみだから、自分でいつもピカピカに磨いている。
けれども、夏のある日、長靴が片方なくなってしまったんだって。
でもちいちゃんは、ちっとも悲しそうじゃない。あんなにお気に入りの長靴がなくなったというのにね。
長靴がなくなって、しばらく経ったある日の夕方、雨が降り出した。いつもなら、土砂降りにならないかなぁ、早く止まないかなぁって嬉しそうなのに、今日のちいちゃんは、とても悲しそう。そうして雨の降る庭のはじっこの方を見つめていたんだ。
あまりにも悲しそうだから、長靴が片方ないからなの?って聞いてみると、ウウン違うって。
どんどん土砂降りになってくると、ますますちいちゃんはいまにも泣きそうな顔になってきた。
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