ちいちゃんのお気にいり

ちぃちゃんのお気に入り

どうしたの？って、また聞くとついにちいちゃんは泣き出してしまった。
びえーっと、ひとしきり泣いていると、いつの間にやら、雨は止んでいたんだ。

ちいちゃんは急いで外に出て、庭のすみっこにまっしぐらに走っていった。
そこには木の葉っぱで隠れた、ちいちゃんの赤い長靴がちょこん。
ちいちゃんは雨の水でいっぱいになった長靴の中を、上から覗き込むとホッとした顔で、
おさかなさんが大丈夫だったよって。

ん？おさかなさん？

ちいちゃん、実はこっそり金魚を飼っていたのです。

縁日に行くと、金魚すくいがやりたい、やりたいって、いつも言っていたのだけれど、すぐ死んじゃうからダメだよって言われていたんだ。
でも、こっそり近所の男の子に、すくいすぎた金魚を1匹もらったんだって。お父さんに叱られちゃうから、こっそりお気に入りの長靴に隠していたんだ。
でも、なぜ土砂降りになって、不安そうにしてたんだろう。
聞いてみると、なるほどです。