最終楽章 ― 協奏曲

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「事故の後な、事故現場に落ちてた母さんの遺留品渡されたんだ。そん中にそれが混じっててな……」  これは母親のものではないと言えば、すぐに詩音に返されただろう。  だが口実が欲しかったのだ。  大きくなって、ちゃんと母の死を受け入れることが出来るようになった時に、撥ねられた少女に会いに行くための。  父さんは会わせてくれなかった。  事故に関わった人間に。  多分、俺を、姉ちゃんを守るために。
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