最終楽章 ― 協奏曲

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そう答えると詩音は再び笑顔を見せてくれた。それに答えるように隆秋も笑えば、詩音はクスクスと声を漏らす。 「じゃあ、行こうか」 今から行けば丁度表彰式だ。 立ち上がり、そう隆秋が付け加えると詩音は眉を潜めた。 「それより先に病院行かないとだめ」 病院という単語に、隆秋はげぇ、と言うように眉間に皺を寄せた。 「縫わないといけねぇかな……」 「……もしかして、もしかしなくても、針とか注射とか苦手?」 「うるせぇ……あ、今笑っただろ!? くそ、なんかムカつく」 「だって……クク……何かイメージが……」 「何わけわかんねーこと言ってやがんだ……」
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