最終楽章 ― 協奏曲

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苛々としながらも、隆秋の心は嬉しさに満たされていた。 願わくば、こんな風景がいつまでも見られますように。 「ちょっとー早く行こーよ」 詩音が笑って、自分も笑って、楽しい日々が続けば、何もいらない。 「はいはい」 ため息と共に吐き出された隆秋の返事に、詩音はまた小さく笑った。 もう、失神じゃすまないかもしれない。 そんな呑気なことも考えながら。
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