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子供というものは、無邪気だ。それが故に、稀にとんでもなく残酷な行動をとることがある。
今の真優は、その良い例だと思いながら、詩音はひょいと彼女の体を持ち上げた。
「わっ……」
「蟻を潰さない」
詩音がそう注意したように、真優は先程までお菓子に群がって列を作っていた蟻を無残にも踏み潰していたのだ。
どんな小さな命であろうとやっていることは殺生に変わりない。
それを悪意なしで、無邪気な悪戯心で成し遂げてしまうのだから、ハッキリ言って幼子は恐ろしい。
「蟻だって痛いんだからね?」
真優の目線に合わせるように屈み込み、そう告げる。
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