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…
ボンヤリと視線を時計に向けると朝の7時を指していた。
思わず葵は布団にもぐる。
(そろそろアイツがくる…)
そう思ったと同時に扉が開き、ヒステリックな女の声が響く……
『葵!今日こそ………って……………るのよ!』
葵は布団の中で耳を塞ぎ極力相手の声を遮った。
だから語尾はハッキリとは聞こえない
ヒステリックに叫び続ける女を止めるようにもう一人の声が入る。
『母さん、俺が連れてくからさ、後は俺が話すから』
『……芳がそう言うんなら…』
【母さん】と言われた女は時計に目をやると慌ただしく葵に言い放つ。
『もう時間だから私は行くけど…ちゃんと行くのよ!』
そう言い残すと仕事へと向かっていった。
…………ようやく、葵の部屋が静寂が戻る。
『葵~起きてんだろ?』
芳がそう言うと布団からヒョッコリと葵が顔を出す。
『ごめんね、芳……』
『いいけどさ…母さんもいい加減、諦めろっつーの。』
呆れた顔で芳はため息をついていた………
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