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夕食も外で食べる事になった。早くしないと混んでくる。
今度は、カウンター席以外にテーブルがわずか5つしかない小さな食堂だ。
カウンターの上には、お惣菜がいっぱい入った大皿が所狭しと並んでいる。メニューとそれを見比べていると、シゲが声を出した。
「『日替わり定食』と『今日のおすすめ』違うのか?」
普通違うと思うんだけどな……
一瞬きょとんとして、次の瞬間笑い声をあげたのは、カウンターの中にいる50代半ばらしいおばさん。
「あんたさん、おかしな事言わはるな。
『おすすめ』はぶり大根、『日替わり定食』は鶏の唐揚げの定食どす」
けらけら笑いながらそう言われて、驚いた顔をする。
「おばさん、関西の人?」
私が声を掛ける。
「そうですねん。わからはります?」
話をしている間にシゲが注文する料理を決めたらしく、丁度手の空いた店員に話掛けている。……私も早く決めなきゃ!
「注文、お決まりですか?」
「……っ
みんな美味しそうで決まらない!
うーん、どうしよう?」
半分悲鳴みたいになる。
散々迷って決まったのは、『今日のおすすめ』の定食にお浸しを一品付け加えたもの。
彼はもう半分近く食べ終わっていて、それでも、私が食べ終わるまで待っていてくれた。
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