2/6
前へ
/30ページ
次へ
 まだ時間が早い…あちこちウィンドウショッピングしてまわる。本格的に買い物しちゃ…荷物に困りそうだ。  ──服屋さん  好みの服と値段をチェックする。着飾るようなデザインよりもシンプルなもの。  会社に着ていくなら、相手に嫌みにならないもの。  今日は買わないけれど、チェックだけしておこう。何度か見て欲しければ買うように。  シゲが私の後ろを着いて歩く。彼は、外出時に着ていく服は頓着しない癖に、家で着るのは、意外と見られるものを着ている。普通なら反対だろうとツッコミが入るところだ。  なので、シゲのもチェックだけしておこうとしたら、 「俺のは要らない」 と一蹴されてしまった。  ──雑貨店  可愛いものが目に飛び込んできた。それでも、必要最低限以外は買わないけれど。  香水は、ふたりとも使わないからスルーする。  ノートやメモ帳なんか学生が気に入りそうな柄がいっぱいある。  雑貨品……キャラクター物のグッズやシール。女子学生や子供たちが好きそうだ。  駄菓子コーナー。1つ10円20円の麩菓子やチョコ。学生時代の遠足のおやつ──200円~300円まで──に、駄菓子の方がいっぱい買えるから、と買い込んだ記憶が……あったりして。  ──不意に思い出しちゃった。  ──洋菓子店  有名な長い名前のチョコ屋さん。バレンタインも過ぎたので、そんなに混んでなさそうな店内を見て取れる。それでも有名なだけあって夜になってもちらほらお客がくる。  値段が高いので、ショーウィンドウの中を見るだけにしようとしたら…… 「欲しい?」  シゲの声。 「買えればね」  すでに諦めてます。 「ふ~ん 待ってて」 「?……うん?」  のこのこ店内に入って行っちゃった。  戻ってきた彼の手に、大小ふたつの袋。小さな袋を私に差し出す。 「へ?」 「いらないの?」 「いる!いります!」  私は、シゲの手から小さな袋をひったくった。  あれ?  何で小さな袋?  普通……逆だろ~?  ま、いいか……  チョコ手に入れたし……ね?
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加