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まだ時間が早い…あちこちウィンドウショッピングしてまわる。本格的に買い物しちゃ…荷物に困りそうだ。
──服屋さん
好みの服と値段をチェックする。着飾るようなデザインよりもシンプルなもの。
会社に着ていくなら、相手に嫌みにならないもの。
今日は買わないけれど、チェックだけしておこう。何度か見て欲しければ買うように。
シゲが私の後ろを着いて歩く。彼は、外出時に着ていく服は頓着しない癖に、家で着るのは、意外と見られるものを着ている。普通なら反対だろうとツッコミが入るところだ。
なので、シゲのもチェックだけしておこうとしたら、
「俺のは要らない」
と一蹴されてしまった。
──雑貨店
可愛いものが目に飛び込んできた。それでも、必要最低限以外は買わないけれど。
香水は、ふたりとも使わないからスルーする。
ノートやメモ帳なんか学生が気に入りそうな柄がいっぱいある。
雑貨品……キャラクター物のグッズやシール。女子学生や子供たちが好きそうだ。
駄菓子コーナー。1つ10円20円の麩菓子やチョコ。学生時代の遠足のおやつ──200円~300円まで──に、駄菓子の方がいっぱい買えるから、と買い込んだ記憶が……あったりして。
──不意に思い出しちゃった。
──洋菓子店
有名な長い名前のチョコ屋さん。バレンタインも過ぎたので、そんなに混んでなさそうな店内を見て取れる。それでも有名なだけあって夜になってもちらほらお客がくる。
値段が高いので、ショーウィンドウの中を見るだけにしようとしたら……
「欲しい?」
シゲの声。
「買えればね」
すでに諦めてます。
「ふ~ん
待ってて」
「?……うん?」
のこのこ店内に入って行っちゃった。
戻ってきた彼の手に、大小ふたつの袋。小さな袋を私に差し出す。
「へ?」
「いらないの?」
「いる!いります!」
私は、シゲの手から小さな袋をひったくった。
あれ?
何で小さな袋?
普通……逆だろ~?
ま、いいか……
チョコ手に入れたし……ね?
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