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風呂場までずるずると抱き締められたまま移動する。
私が抵抗するのがわかっていたのか、軽く抵抗するとシゲに簡単に両手を抑えられた。
ムッとした顔で睨み付けたけど、軽く流されてキスされる。 気が付けば、服を脱がされている。全く!何時の間にやったのよ!
湯船のお湯を止めて、そのまま躰を洗って湯船に入る。シゲが続けて入ろうとしたのに、ひとこと言ってやる。
「髪の毛洗って、髭(ひげ)剃ってちょうだい?」
「え~、何で?」
思いっ切り不満そうな顔。『女の子』が鬱陶しいのだろうな、と思ったのは、初めて綺麗にしたシゲを見た時。かなり見られる顔だったからね。それで会社に行けば、ある程度?モテそうだったし。
「明日は、会社休みだもん。一緒に外デートしよう?」
そう言うと、思いっ切り嬉しそうな顔をする。ぴんとした犬耳とはちきれんばかりにぶんぶん振る尻尾が見えるようだ。
「おぅ。
何だ?見てたって何にも出てこねぇぞ」
こっちを見てニタニタ笑ってそう言う。嬉しそうな顔に似合わないからかうような声。
「ぐっ……偶然でしょう?」
……流石に照れるわ。
「そうかぁ?」
暫くこっちを見ていたけど、私が反応しないので、諦めて髭を剃り始めた。
剃り終わって私を見るシゲ。
髭が有るのと無いのでは、かなり印象が違う。やっぱり、格好良いなぁと思う。多分、彼のまわりの『女の子』の中で私だけが知っている事。それがすごく嬉しい。
真っ赤になっているだろう私に、シゲがそっとキスをした…………
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