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暫く歩いて着いた所には、『ギャラリー・暁──AKATSUKI──』の看板。立ち止まった私の肩をシゲが軽く押す。
目に飛び込んで来たのは、綺麗な色合いの幻想的な風景画。
「うわぁ……綺麗!」
絵の解らない私でも、綺麗なのはわかる。
シゲがパンフレットをもらって来たのを見たけれど、見せてもらわずにゆっくりと絵を見ていく。
隣でパンフレットを見ながら解説をするシゲ。それによるとここにある絵は、日本人の描いたものらしい。
「名字を雅号にしてるんだ」
「がごう?」
「俺の場合は、『なるみ』だな」
「あぁ…なるほど」
そういえば、シゲも絵を描いているんだった。シゲは『成美』と書いて『しげよし』と読む。もうひとつの読み方の『なるみ』が彼の雅号なのだ。
綺麗な絵を見て、ニコニコしている私を見て『連れて来て正解だったな』と呟いてるのを見ると、なんとなく嬉しくなってシゲの腕に手を絡めた。
ギャラリーを出てほんの少し歩く。今度は、デパートの特設会場だった。
ここも絵だった。ただし、蒼い海の世界。綺麗でかわいいイルカがいっぱいいる。見ているだけで心が優しくなっていく気がした。
売店で絵葉書のセットを買った。
「何買ったの?」
「絵葉書」
「出す相手いた?」
「………っ
いないわよ!
出さなくても、絵を見れるでしょ」
「一理あるな」
シゲがくすくす笑いながら私を見る。釣られて私も笑いながら彼を見た。
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