『入学』

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「…なんで、わかった?」 私は恐る恐る聞いた。 いつもは目を見て話すのに、今は見れない。 「なんとなくだよ。」 そう、朔は笑顔で言った。 「朔、そんなのありえないよ…?」 そう、そんなのありえない。 なんとなくでなんかわかるはずない。 だって、今まで誰もわからなかったもん。 「今までみんな、騙してこれたもん!」 騙していたことに今さら涙が出てくる。 体だって怖くて震えていたはずなのに、なぜか口調だけはキツかった。 でも朔は、そんなのへでもないと言うように言い放った。 「俺も同じだったから。 高校に入るまでは、俺も笑えなかったんだ――。」
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