第一幕~命の燈火(トモシビ)は静かに揺れて~

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そうして少女は、ビネノアの読んでいた本に視線を落とす。 そこに書いてあったのは、自分の言った言い伝えが、自分の『種族』に伝わる伝説が書いてあった。 「あと言い忘れてましたが、『ここにいる』のはピリコでなく、ミラですの。本名で呼ばれたらこの姿の意味が無くなってしまいますの」 「……誰が見てる訳でもないだろ」 ビネノアが苦笑を浮かべたその時――ビネノアの目の前のテーブルに小さな魔方陣が浮かび上がった。 月光のように淡く輝きながら、光の粒を放ちながら、魔方陣は燦々と輝いている。 突然の魔方陣に、しかしさほど驚いた顔をしないビネノアとピリコ。そうこうしてる間に魔方陣は消え、それが出ていた場所には手紙のようなものが落ちていた。 「上からの『依頼』……いえ『命令』かしら。どちらにせよ、私には関係のないものですわね」 それでも気になり、ピリコはビネノアに近付く。 「ちょっと見せて下さいですの」 内容を読み、少しして―― 「これは……」 ピリコは笑みを浮かべた。楽しそうに、愉快そうに、面白そうに。にやついた顔のまま、ビネノアの方を見やる。 「私、すごくいい事を思い付きましたですの。ロン様の事も『伝説』の事も、手紙の『命令』だって一気に片付けられるかもしれない、素晴らしい事を思い付いたですの」 ピリコの思い付いたそれを聞いた直後、ビネノアは信じられないものを聞いたような顔をした――
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